ただ今、会長にご推挙いただきました「天雲」でございます。どうぞよろしくお願いします。まずもって、皆様方におかれましては、本日はお忙しいところお集まりいただき感謝申し上げますとともに、日頃、各校同窓会の運営に多大のご尽力をされておられることに対し敬意を表したいと存じます。
実は、 これまでどちらかというと同窓会活動に一生懸命力を尽くしてきたわけでもなく、いささか力不足の感がある私が、この会の会長に就かせていただ<ことがいいのかどうか正直迷いました。でも、組織の立ち上げという一番大事な時期に皆さん方とともに汗をかかせていただくことは、 香川というこの地域を元気していく上で私に残された使命の一つではないかと考え、 お引き受けいたしました。 どうかよろしくお願いします。
ご承知の通り、本県のような地方にあっては、 昭和30年代から始まった高度経済成長時代以降、一貫して、高校を卒業すると進学や就職で県外に転出する若者の割合が高い状況が低成長時代の今に至ってもなお続いています。 これが東京一極集中など都会への人口集中現象を促進し、一方で地方における人口減少や若者の減少による活力低下という事態を生じさせている大きな原因となっています。なかでも、意外に認識されておらず残念で驚くべきことは、対岸の広島や岡山が2割から3割程度、 四国の他3県が3割台という水準であるのに比べ、本県は実に4割以上という高い水準で高校卒業生つまり若者が県外へ転出してきているという事実です。
若者にとって魅力ある就業の場が少ないということは地方共通の課題であることから、 この違いの主な原因は大学進学先の選択の違いによるものではないかと思われます。要は、近県に比べ相対的に県内での大学の立地が少ないため、本県の多くの受験生が、 県外の大学に行かざるを得ないというか県外の大学を選択せざるを得ない状況になっているためだと思われます。 それでも昔のというか瀬戸大橋開通前の支店経済が華やかりし頃は、 多くの高校卒業者が流出する 方で、毎年、支店という就業の場へ赴任や転勤という形で県外から多くの20歳~30歳代の若者が流入し、 地方としてはめずらしく若年層の人ロバランスが保たれ活力が維持された地域でありました。しかしながら、その後の支店経済の衰退により、今やそうした姿は見る影もなく、 毎年、流出超過が続き、年々活力が失われているのが今の香川の姿ではないかと私は認識しています。
この課題をどのように解決していくか、 これを語るのは本日の本題ではあり ませんのでこのぐらいにしておきますが、とにかく私が申し上げたいのは、本県のように県外への進学率が高い県は、それだけ、卒業しても香川に戻らずその地に残る人たちが多いということになり、その分だけ香川の活力が失われているとも言えるのです。ただ、このことは負の面ばかりではなく、見方を変えれば、一定の年齢に達すると、同窓会活動などを通じて郷里香川のことを想い、香川のためにひと肌を脱ごうとされる方がそれだけ多く出てくる可能性があるとも言えるのではないでしょうか。
言い方を変えれば、同窓会活動などを通じて県外に多くの「香川応援団」が誕生してくる可能性があるいうことです。このためにも、同窓会活動を「ふるさと 応援団のプラットフォ ーム」として維持していく必要があるのです。また、県内に残った方や帰って来られた方にとっては、心のよりどころとしてだけでなく、色々な場面で同窓会組織を活用したり、 それに助けられたりして地元での活動を行っており、ある意味、同窓会組織が「地元を元気にするためのプラットフォ ーム」になっているのではないでしょうか。このように考えますと、同窓会組織、特に、 大人になる一歩手前にある高等学校の同窓会組織というものの存在は大きいものがあります。
ところが、 さらなる少子高齢化や都会への人口流出に連動した高校の統廃合つまり同窓会組織の統廃合、また、これまで同窓会組織の中核だった団塊の世代の引退に伴う運営面や予算面での行き詰まり、 さらには働き方改革の進展に伴い現役教員の組織への関与が難しくなる点など、近い将来、この香川において、高校の同窓会をめぐり様々な課題が発生してくることが予想されます。場合によっては、 同窓会組織の維持ができなくなるところも生じてくる可能性がないとも言えません。そこで、各校の同窓会組織を横断的につなぎ、運営についての課題などの情報を共有し、 必要に応じ助け合いができるような組織づくりをしようではないかということで、 このたびこのような組織を立ち上げするに至りました。
よく「地域づくり」は「人づくり」とも言われます。その地域に、 多彩な能力を持った方が多く定住し生き生きと活躍されることが、 その地域の元気のバロメーターになってくるのではないかと私は思います。昔と違って今は、学校が生徒から選ばれる時代です。 多彩な人材になる可能性を秘めた生徒たちを集めるには、いかに学校が魅力あるものになっていくかがカギです。その点から言うと、今の香川県の学校は果たして生徒たちにとって魅力あるものになっているかと問われれば、疑問符が付くような気がしてなりません。いずれ、こうした教育に関する諸課題を皆さん方と議論ができ、 場合によっては関係方面に対し建設的かつ現実的な提言ができるような組織に、 この会が発展していければとも思っていますので、どうかよろしくお願い申し上げまして、私からのご挨拶とさせていただきます。
香川県公立高等学校同窓会協議会
会長 天雲 俊夫